PEACE HOUSE

共同設計 建築設計事務所SAI工房

 計画地は京都市北区北山駅に近い、店舗が立ち並ぶ通りの角地に位置する。この地域は1980年代から90年代にかけて多くのブティックや雑貨屋等が進出したが、バブル崩壊と共に急激な開発は収まったものの一定の人気を保っている場所である。

 クライアントは既に北山で美容室を営みながらカットショーなどのイベントを行い、これからもこの地域から新しい情報を発信したいという思いから、これまでの店舗が手狭であると考え、移転し美容室に加えカフェ、アパレルというつの用途を有する複合店舗の計画を依頼された。

プランは、RC造のスケルトン空間を3つのエリアに三等分した上でつの家型を挿入し、ひとつをエントランス棟、もうひとつをスタッフ棟としてまとめ、その間の空間をサービススペース(客室や施術スペース)として自由に利用出来るように考えた。普段は3つのエリア分かれているが、イベント時等は間仕切りを開け放つことで、店舗全体を一体空間として利用できるよう計画しており、完全に分断させることなく程よい距離感で繋がるような空間構成としている。また、天気の良い日は外部に面する大きな開口部を開け放つことで、店舗全体がピロティとなり、オープンカフェや市場の様な賑わいを見せ、地域に活気をもたらす。ひとりのオーナーだからこそ出来る自由で豊かな営業が可能になる様に計画した。

 施工は、クライアントやその友人達と共にセルフビルドで制作することで地域との親交を深めつつ、多くの要望に応えながらもコストの大幅な削減を実現している。これからも季節や流行に合わせフレキシブルに利用しながら、このクライアントと地域だからこそ出来る店舗空間にして頂けるのではないかと期待している。